良い石鹸に出逢いたい
良い石鹸の定義って何なのでしょう。
汚れが落ちる事?
匂いが心地よい事?
材料が良い事?
劣化しない事?
長持ちする事?
環境に優しい事?
安価で購入できる事?
伝統の製法である事?
石鹸は「不易流行」なのだと思うのです。
変わってはいけない部分を保ちながら、変化もつけなくてはいけない。
それでも。
自然環境まで破壊してしまうほどに作り過ぎても、使い過ぎてもいけない事を人間は忘れてしまうのです。
石鹸の材料
石鹸の材料自体はとても単純化できます。
・脂肪酸 若しくは 油脂
石鹸の性質を左右する基材です。主に硬さや溶けやすさ、低温や高温での洗浄力、酸素による酸化のしやすさは脂肪酸の配合比率によって変わります。
脂肪酸を石鹸にする薬剤です。固形石鹸なら水酸化ナトリウム、液状石鹸なら水酸化カリウムが使われ、どちらも薬機法により劇薬指定を受けています。
・水
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを溶かし、油脂とムラなく混ざる為に必要な液体。
一般的には軟水を推奨されていますが、金属石鹸(脂肪酸とカルシウムやマグネシウム等の結合したもの)の発生を避ける為とか使用感に影響するからと言われています。
これだけでシンプルな無添加石鹸になるのです。
はじめに
こんなにも文明の発達した世界の中で、今も使われている石鹸。
歴史を紐解けば神への供物として捧げられた獣を焚かれた炎で焼き、その滴る熱い肉汁と油と灰が混ざり生まれたと言われている。
もちろん時代と共に技術的に洗練されたり使われる素材が増えていくものの、基本的に変わる事のない不変の産物。
脂肪酸ナトリウム(又は脂肪酸カリウム、脂肪酸リチウム)である。
アルカリ性である。
水(摂氏一度から摂氏百度の間)で溶ける。
希釈すれば洗浄力はなくなる(一次生分解)。
生分解性の究極分解においては4週間で90%に近い脂肪酸が微生物によって分解(無機化)される。
この5つの特性を持つ洗浄剤、石鹸。
日本国内で販売するなら二つの経路が法律にて定められています。化粧用石鹸(手や顔、身体の洗浄目的とする石鹸)なら薬剤師資格の他薬機法に準拠する形で、雑貨石鹸(衣類の洗濯用や台所用、浴室洗浄用等の物を洗浄する目的の石鹸)は家庭用品品質表示法に準拠する形で。
仮に同じ材料で同じ分量の材料比率で同じ形の石鹸ができても、国内では前者は化粧用石鹸として。後者は雑貨石鹸としてしか販売できないのです。
使用者の身に何かが起きてからでは元に戻せない薬物を、薬物の取り扱いに秀でる薬剤師の下で国に製造方法や材料を申請して作られたモノでも、健康被害を起こした例は忘れてはいけないと思うのです。